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総務の来客対応にAIを使う|記録と備品発注で月10時間の試算

結論

総務の来客対応と備品発注は、「誰が・いつ・何を」を記録し整理するだけの部分と、 その場で判断する部分が混ざった仕事です。一般的な業務量から試算すると、 記録の整理・在庫チェックリストの作成・発注メールの下書きをAIに任せることで、 担当者1人あたり月10時間前後の削減余地になります(後述の試算)。 一方、来客対応中の判断や、発注の最終承認は人が行います。

総務の来客・備品発注業務とは、どんな仕事か

来客対応と備品発注は、総務担当者の日常業務の中でも件数が多く、 1件あたりは短時間でも積み重なると負担が大きい仕事です。

来客対応で発生する作業は、主に次のとおりです。

  • 来客予定を確認し、担当者や会議室に共有する
  • 受付での案内、お茶出し、名刺の整理
  • 来客記録(誰が・いつ・誰と会ったか)を台帳に残す
  • 頻繁な問い合わせ(駐車場の場所、Wi-Fiの接続方法など)への案内

備品発注で発生する作業は、主に次のとおりです。

  • 文具・消耗品の在庫を定期的に確認する
  • 不足分をリストにまとめ、発注書や見積依頼を作る
  • 複数の取引先から見積もりを取り、価格を比較する
  • 発注後の納品確認と、在庫台帳への反映

どちらも「情報を集めて整理する」部分と、「その場で判断する」部分が 交互に出てくる点が共通しています。

AIに任せられる部分と、人が残す部分

作業 任せられるか 理由
来客記録の整理・担当部署への共有文の作成 任せられる 受け取った情報を決まった形式にまとめる作業
よくある問い合わせへの案内文の作成 任せられる 過去の回答パターンを組み合わせる定型作業
備品在庫の不足リスト作成 任せられる 在庫数と基準数を照合するだけの作業
発注書・見積依頼メールの下書き 任せられる 型が決まった文書の下書き作成
来客対応中の要望・苦情への対応方針 人が行う 取引先との関係・会社の信用に関わる判断
発注の最終承認 人が行う 費用が発生する意思決定
取引先の選定・価格交渉 人が行う 関係性と条件を踏まえた交渉判断

「情報をまとめる」部分はAIに任せられますが、 「関係を壊さないための判断」と「お金を使う判断」は人に残ります。

来客・備品発注業務で、月にどれだけ時間が減るか

総務担当者1人が、来客対応と備品発注を兼務している状況を想定して試算します。

業務 いまの時間(月・1人あたり) AI化後の時間 差
来客記録の整理・共有文作成 4時間 1.5時間 2.5時間
よくある問い合わせへの案内文作成 2時間 0.5時間 1.5時間
備品在庫の不足リスト作成 5時間 2時間 3時間
発注書・見積依頼メールの下書き 4時間 1.5時間 2.5時間
発注後の台帳反映 2時間 1.5時間 0.5時間
合計 17時間 7時間 10時間

試算の前提: 従業員50名前後の会社、来客対応と備品発注を兼務する総務担当者1人、 月間来客数を約40件、備品発注を月2〜3回として計算しています。 会社の規模や来客数によって、この数字は上下します。

削減した10時間は、そのまま「空き時間」になるわけではなく、 記録の見直しや、来客対応の質を上げる時間に振り向けられる分と考えてください。

AIへの指示文の文例(来客対応・発注業務)

来客記録の整理に使える指示文の例です。社内のチャットAIやメール作成支援に貼り付けて使います。

以下は本日の来客メモです。この内容を「来客記録フォーマット」に整理してください。

出力項目:
- 来訪日時
- 来訪者名・会社名
- 対応した担当者
- 面談の目的(簡潔に)
- 次のアクション(あれば)

来客メモ:
[ここに手書きメモやその場で入力した内容を貼り付ける]

備品の発注リスト作成に使える指示文の例です。

以下は今週の備品在庫確認結果です。基準数を下回っている品目だけを抜き出し、
発注リストの形式で整理してください。

出力形式: 品目名 / 現在庫数 / 基準数 / 発注数量(基準数に戻すために必要な数)

在庫確認結果:
[品目名と現在庫数、基準数を一覧で貼り付ける]

いずれの文例も、「[ ]」の部分を自社の実際のメモや在庫データに置き換えて使います。 出力結果は、担当者が最終チェックしてから台帳や発注書に反映してください。

導入前チェックリスト

来客対応・備品発注の業務にAIを取り入れる前に、次の点を確認してください。

  • □ 来客記録に含まれる個人情報(氏名・会社名・連絡先)を、外部のAIサービスに 入力してよいかを社内規程で確認したか(個人情報保護委員会の2023年6月2日の注意喚起を参照)
  • □ 使うAIツールが、入力内容を学習に使わない設定(法人向けプランなど)に なっているかを確認したか
  • □ 発注の最終承認は人が行う運用にすることを、担当者間で合意したか

3つとも満たしてから使い始めることで、情報の扱いを誤るリスクを減らせます。

導入するときに気をつけること

来客記録には、取引先の担当者名や連絡先といった個人情報が含まれます。 個人情報保護委員会は2023年6月2日の注意喚起で、事業者向けに次の2点を示しています (https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/ の別添1)。

  • 個人情報を含む入力は、その利用目的を達成するために必要な範囲内かを十分に確認する
  • あらかじめ本人の同意なく個人データを入力し、応答結果の出力以外の目的で扱われる場合は、 個人情報保護法に違反する可能性がある。入力する前に、サービス提供事業者が 機械学習に利用しないことなどを十分に確認する

AIツール側の扱いも、プランで分かれます。たとえばAnthropicは2025年8月28日の発表で、 Claudeの無料・Pro・Maxプランは学習利用に関する規約変更の対象、 Claude for WorkとAPI利用は対象外(別の商用規約)と説明しています (https://www.anthropic.com/news/updates-to-our-consumer-terms)。 他のAIツールも、利用規約とプライバシーポリシーで入力内容の扱いを確認してください。 そのうえで、法人向けプランや社内限定の仕組みを使うことをおすすめします (【各自確認:利用予定のAIツールが学習利用の対象外になる法人向けプランを用意しているか、 その料金と条件を、各ツールの公式サイトの料金ページで確認】)。

また、AIが作った来客記録や発注リストは、そのまま台帳や取引先への送信に使わず、 担当者が一度目を通す工程を残してください。人名や数量の誤りは、 そのまま送ってしまうと取引先や社内での信用に関わります。

よくある質問

Q. 来客対応システムを導入していない会社でも、AIは使えますか。

使えます。手書きの来客メモや、Excelで管理している在庫表をそのままAIに 読み込ませて整理させる使い方であれば、専用システムがなくても始められます。

Q. 受付を無人化してAIに任せることはできますか。

来訪者がタブレットで自分で受付操作をし、担当者にチャットなどで通知するクラウド受付システムがあります。 たとえば「RECEPTIONIST」の公式サイト(https://receptionist.jp/ 、2026年9月確認)では、 iPad受付、Slack・Teams・LINE WORKSへの通知、来訪記録の自動蓄積とCSV出力が紹介されています。 この記事では、記録・整理の部分に絞って説明しています。

Q. 備品発注の見積比較もAIに任せられますか。

複数の見積もりを表にまとめて比較しやすくする作業はAIに任せられます。 ただし、どの取引先を選ぶかという判断は、価格以外の条件(納期・関係性)も 関わるため、人が行う業務として残しておくことをおすすめします。

Q. AIが作った来客記録を、そのまま社外に送ってもよいですか。

おすすめしません。AIの出力には誤りや情報の欠落が起こりうるため、 社外に送る前に担当者が内容を確認する工程を置いてください。

理解度チェック

読んだ内容の確認に3問だけ。押すと答えが開きます。

Q1. 来客の訪問記録を整理し、担当部署に共有する作業は、AIに任せやすい業務である。

○ — 受け取った情報を決まった形式に整理して共有する作業はAIに向いていると本文で説明した。

Q2. 来客対応中に、取引先からの重要な要望や苦情への対応方針をAIが判断してよい。

× — 取引先対応の方針判断は会社の信用に関わるため人が行うと本文で述べた。

Q3. 備品発注の最終承認(本当に発注してよいかの決定)は、AIが自動で行ってよい業務である。

× — 発注は費用が発生する判断であり、最終承認は人が行うと本文で述べた。

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いくつかの質問に答えると、AIに任せられる仕事と減らせる時間の目安が出ます。運営: 市瀬 大義(福岡。前職で経営企画室長を経て、執行役員CFO)

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