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FAXでのやり取りが多い会社のAI活用の始め方

結論

FAXでのやり取りをやめる必要はありません。取引先がFAXしか使えない以上、そこは変えられない前提です。AIに任せられるのは、届いたFAXを読んで別の場所に入力し直す作業と、内容を見て誰の担当かを振り分ける作業です。この2つだけでも、注文書1枚あたりの処理時間はまとまった量になります。読み取った後は人が確認する運用にすれば、手書きの癖字や汚れたFAXが混じっていても、誤入力のリスクを抑えて使えます。

FAXが多い会社で、AIに任せられる業務はどこか

FAXでのやり取りが多い会社の業務は、大きく3つに分かれます。

  • 判断が要る業務: 与信の確認、値引きの可否、クレーム対応の方針決め
  • 転記・入力の業務: FAX注文書の内容をシステムやExcelに入力し直す
  • 仕分け・確認の業務: 届いたFAXが誰宛か、どの案件かを見て振り分ける

このうち、AIに任せられるのは後の2つです。判断が要る業務は、最終的な決定を人が行う前提であれば、AIに下書きを作らせることはできますが、決定そのものは任せられません。

FAXでのやり取り自体をなくす取り組みは、取引先の理解と時間が必要で、すぐには進みません。先に転記と仕分けをAIに任せて時間を空け、そのうえでFAX以外の窓口を増やすかどうかを検討する、という順番のほうが現実的です。

FAX注文書のデータ化で、何時間減るか(試算)

一般的な中小企業の業務量から試算すると、FAX関連の業務は次のように変わります。

業務 いまの時間(月・1人あたり) AI化後の時間(目安) 差
FAX注文書の転記(受注入力) 10時間 4時間 6時間
発注書・見積依頼の内容確認 5時間 2時間 3時間
届いたFAXの振り分け 3時間 1時間 2時間
取引先への確認連絡・再送FAXの作成 4時間 2.5時間 1.5時間

試算の前提: 複合機やスキャナでFAXを画像・PDF化できている会社を想定しています(受信FAXをデータで自動転送する設定は、たとえばシャープ公式FAQ「受信データの自動転送」で案内されています。対応は機種により異なります【各自確認:自社の複合機の取扱説明書またはメーカー公式サイトで、受信FAXのデータ転送に対応しているか確認】)。この時間は公表統計ではなく、このサイトでの試算です。1人が上記4つの業務すべてを兼務している前提で、AI化後の時間は「AIが画像を読み取り、入力用の下書きを作り、人が確認・修正して確定させる」運用を想定しています。取引先の数・書式のばらつき・手書きの割合によって、実際の削減幅は変わります。

上記4業務の差を合計すると、月12.5時間です。時給換算を仮に2,500円とすると、月31,250円分の時間が空く計算になります(12.5時間×2,500円。2,500円は試算用の仮の数字です)。この金額と、AIツールの利用料を比べて、自社で導入する価値があるかを判断できます。

手書きのFAXも、AIは正しく読み取れるか

活字で印刷された注文書であれば、AIによる読み取りの精度は比較的高くなります。問題は手書きのFAXです。

手書きのFAXでは、次のような理由で誤読が起きます。

  • 文字のかすれ・薄い印字(FAXの送信品質による劣化)
  • 癖字・崩し字(特に数字の「1」「7」、漢字の略字)
  • 枠からはみ出た記入、二重線での訂正

このため、手書きFAXの読み取り精度は、AIの種類と文書の状態で幅があり、公表された統一の数値はありません【各自確認:使うAIで、自社のFAXを数枚読み取らせて精度を確認】。運用としては、AIが読み取った内容を人が元のFAXと突き合わせて確認してから、システムに入力するという手順を外さないことをすすめます。特に金額・数量・型番など、間違えると実害が出る項目は、確認を省略しないようにします。

活字のFAXが多い会社ほどAI化の効果が出やすく、手書きが多い会社ほど「読み取り+人の確認」の運用を前提にする必要がある、という違いがあります。

届いたFAXの振り分けも、AIに任せられるか

複数の取引先・複数の用件がFAXで届く会社では、「これは注文書か、問い合わせか、請求書か」を見て、担当者に回す作業が発生しています。

この振り分けも、AIに任せられる業務です。FAXの画像をAIに見せて、書式やタイトル、記載されている項目からおおよその種類を判定させ、担当ごとのフォルダやチャットに振り分ける、という流れです。

ただし、次の2点には注意が必要です。

  • 判定の精度は、書式が決まった取引先ほど高くなります。書式が毎回バラバラな取引先が多いと、誤判定が増えます
  • AI-OCRを専門に扱うサービスを使うと複数枚をまとめて自動処理できますが、料金や対応枚数は【各自確認:2026年9月時点の各社公式サイトで確認】。汎用のAIツールでも1枚ずつであれば読み取り自体は可能です(たとえばChatGPTは、OpenAIの公式ヘルプで無料版でも画像のアップロードができると案内されています。利用回数の上限は変わることがあります)

振り分けを完全に自動化するのではなく、「AIが仮の振り分け先を提示し、人が最終確認して送る」形にしておくと、誤配送のリスクを抑えられます。

今日から使える、AIへの指示文の文例

FAX注文書の画像を読み取らせて、入力用のデータに変換させるときの指示文です。画像とあわせてAIに渡して使います。

あなたは受注入力の担当者です。添付したFAX注文書の画像を読み取り、
次の項目を表形式で書き出してください。

- 取引先名
- 注文日
- 商品名・品番
- 数量
- 納期指定(記載があれば)
- 備考(手書きのメモ・特記事項)

読み取れなかった文字、判読に自信が持てない箇所は、
空欄にせず「要確認」と書いてください。
数字は算用数字で統一してください。

「取引先名」「商品名・品番」などの項目名は、自社の注文書で実際に使っている項目に置き換えてください。項目が多い注文書では、この指示文に項目を追加して使います。出力された表は、そのまま入力するのではなく、元のFAXと見比べてから使います。

AI化を始める前のチェックリスト

FAXのAI化を始める前に、次を確認しておきます。

  • □ FAXは紙のまま受信しているか、複合機で自動的に画像・PDF化されているか(画像化されていないと、AIに読み込ませる前にスキャンする手間が増えます)
  • □ 主要な取引先の注文書の書式は何種類あるか(書式の種類が少ないほど、読み取りの精度が安定します)
  • □ 読み取った内容を、誰が・どのタイミングで元のFAXと突き合わせて確認するか(確認の担当と手順を先に決めておきます)
  • □ 金額・数量など、間違えると実害が出る項目はどれか(この項目だけは確認を省略しない、というルールを決めておきます)

この4点が整理できていれば、無料版のAIツールでも小さく試すことができます【各自確認:使うAIツールの無料版で、画像の読み取りと回数上限が自社の枚数に足りるか。各社の公式ヘルプで確認】。取引先の注文書を外部のAIに送ることになるため、入力した内容が学習に使われる設定かどうかも、各社の公式ヘルプで確かめてください。

よくある質問

Q. FAX注文書をAIに読み取らせるには、何を用意すればいいですか。 複合機やスキャナでFAXを画像・PDFとして保存できる状態にしておけば、追加の機材は必要ありません。その画像を、AIに読み取らせて入力用の下書きを作らせる、という流れです。

Q. 建設業でよくある、手書きの発注書FAXもAI化はできますか。 読み取り自体は可能ですが、手書きの現場伝票は誤読が起きやすいため、金額や数量など重要な項目は、AIの読み取り結果を人が元のFAXと突き合わせる運用にすることをすすめます。

Q. 取引先ごとにFAXの書式がバラバラな会社でも、AIは対応できますか。 対応はできますが、書式が決まった取引先に比べると、読み取りの精度は下がりやすくなります。書式が多い会社ほど、最初は取引先1〜2社分の書式に絞って試し、精度を確かめてから対象を広げることをすすめます。

Q. AIに読み取らせた内容を、そのまま受発注システムに入れて大丈夫ですか。 そのまま入れることはすすめません。読み取り結果には誤読が混ざる可能性があるため、人が元のFAXと見比べて確認してから入力する手順にしておく必要があります。

Q. FAXの受信をやめさせられない取引先がいる場合、どうすればいいですか。 FAXをやめさせる必要はありません。取引先にはこれまでどおりFAXで送ってもらい、社内で受け取ったあとの読み取り・入力・振り分けだけをAIに任せる、という考え方で進められます。

理解度チェック

読んだ内容の確認に3問だけ。押すと答えが開きます。

Q1. FAX注文書の転記をAI化する最初の一歩は、取引先にFAXをやめてもらうよう依頼することである。

× — 本文では、FAXは残したまま、読み取りと転記の手間だけをAIに任せる進め方をすすめている。

Q2. 本文の試算表では、FAX注文書の転記(受注入力)は月10時間からAI化後4時間になり、差は6時間である。

○ — 表のとおり、いまの時間10時間・AI化後4時間で、差は6時間としている。

Q3. 手書きのFAXは、AIであれば必ず全ての文字を正確に読み取れる。

× — 本文では、文字のかすれや癖字で誤読が起きるため、必ず人が確認する運用が必要だとしている。

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いくつかの質問に答えると、AIに任せられる仕事と減らせる時間の目安が出ます。運営: 市瀬 大義(福岡。前職で経営企画室長を経て、執行役員CFO)

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