社内イベント案内文の作成をAIで軽くする

社内イベントの案内文は、なぜ毎回ここまで時間がかかるのでしょうか。理由は「本文を考える」ことではなく、 「対象者ごとに文言を変える」「上司の言い回しに揃える」「誤字脱字を確認する」という周辺作業に 時間が取られているためです。AIに任せられるのは、この周辺作業の大半です。案内文の骨子を作らせ、 対象者別に文面を調整させ、誤字脱字と抜け漏れをチェックさせる。一方で、開催の可否判断や 出欠の集約先といった意思決定は、AIには任せられません。
社内イベント案内文づくりは、何に時間を使っているのか
「案内文を書く」という1つの作業に見えて、実際は複数の工程に分かれています。
- 案内文の下書き作成(日時・場所・持ち物などの基本情報をまとめる)
- 対象者別の文言調整(役員向けは丁寧に、一般社員向けは簡潔に、など)
- リマインドメールの作成(開催直前に送る短い再周知)
- 想定問答(FAQ)の作成(「途中参加は可能か」「服装は自由か」等への回答準備)
- 誤字脱字・日時の整合性チェック
このうち、時間がかかっているのは「本文を考える」部分よりも「作り分け」と「チェック」の部分です。
試算:AI化でどのくらい減るか
一般的な従業員50名規模の企業で、総務担当者1名が社内イベント(忘年会・歓送迎会・研修などの 案内一式)を月2回作成すると仮定した試算です。
| 業務 | いまの時間(1回あたり) | AI化後(1回あたり) | 差 |
|---|---|---|---|
| 案内文の下書き作成 | 30分 | 10分 | 20分 |
| 対象者別の文言調整 | 20分 | 5分 | 15分 |
| リマインドメール作成 | 15分 | 5分 | 10分 |
| 想定問答の作成 | 20分 | 10分 | 10分 |
| 誤字脱字・整合性チェック | 10分 | 5分 | 5分 |
| 合計 | 95分 | 35分 | 60分 |
前提:従業員50名規模、総務担当1名、社内イベント案内一式を月2回作成。対象者別の文言調整は 「役員向け・一般社員向け」の2パターンを想定。この前提が変われば数字も変わります。自社に 当てはめる場合は、まず直近3回分の案内文作成にかかった時間を実際に測るところから始めると、 試算の精度が上がります。
AIに任せられる部分・任せられない部分
任せる・任せないの境目は「決める作業かどうか」です。
| 任せられる | 任せられない |
|---|---|
| 案内文の骨子作成 | 開催の可否判断 |
| 対象者別の文言調整 | 出欠の集約先・締切日の決定 |
| リマインド文の作成 | 予算の承認 |
| 想定問答の下書き | 社外秘情報の取り扱い判断 |
| 誤字脱字・日時の整合性チェック | 参加を強制するかどうかの判断 |
AIに骨子を作らせたあと、開催可否や締切といった決定事項は、案内文に反映する前に 人が確認します。AIが作るのはあくまで「文章」であり、「決定」ではありません。
今日から使える指示文(文例)
以下をコピーして、自社の情報に置き換えて使えます。
以下の条件で、社内イベントの案内文を作成してください。
イベント名:[イベント名を入力]
日時:[日時を入力]
場所:[場所を入力]
対象者:[全社員/特定部署など]
持ち物・服装:[あれば入力]
出欠の連絡方法・締切:[入力]
文面のトーン:[丁寧/カジュアル など]
出力は以下の3パターンで作成してください。
1. 全社員向けの正式な案内文
2. 対象部署向けの簡潔な案内文
3. 開催3日前に送るリマインド文(短文)
[ ]で示した部分を自社のイベント内容に置き換えてから使います。トーンの指定(丁寧/カジュアル)を 変えるだけで、同じ情報でも文面の印象が変わります。
送る前のチェックリスト
AIが作った案内文をそのまま送らず、次の点を確認してから配信します。
- □ 日時・場所・締切日が、実際の予定と一致しているか
- □ 対象者の範囲(全社員か特定部署か)が本文と送信先で食い違っていないか
- □ 社外秘の情報(取引先名・未公表の人事など)が本文に含まれていないか
- □ 誤字脱字、および敬称・呼び方の統一(「様」「さん」の混在など)
- □ 過去のイベント案内と比べて、文面のトーンが極端に変わっていないか
導入するときの注意点
AIチャットツールに入力した内容が、AIの学習に使われる場合があります。 OpenAIの公式ヘルプ(Data Controls FAQ、help.openai.com/en/articles/7730893)によると、 ChatGPTの無料版・Plus・Proの個人利用では、初期設定で学習への利用が有効です。「設定」→ 「データコントロール」→「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、 以後の会話は学習に使われません(2026年9月時点で確認)。一方、ChatGPT Business・ Enterprise・APIは、初期設定では入力内容を学習に使わないと同ヘルプに書かれています。 Claude(Anthropic)の個人向けプラン(Free・Pro・Max)にも、学習への利用を選ぶ設定が あります(Anthropic公式発表、2025年8月)。出典:anthropic.com/news/updates-to-our-consumer-terms。 社外秘の情報や個人名を含む文面を作るときは、入力前に設定を確認します。 利用するAIツールの料金は、【各自確認:契約中のAIチャットツールの料金プランを、各社公式サイトの料金ページで確認】です。 契約前に各社の公式サイトで確認してください。
また、AIが作った文面は「一般的に自然な言い回し」にはなりますが、その会社独自の言い回しや 過去のイベントとの一貫性までは反映されません。過去の案内文を1〜2通、AIへの指示文に 参考として渡すと、文面のトーンが揃いやすくなります。
よくある質問
社内イベントの案内文をAIに作らせると、社外秘の情報が漏れませんか。 入力した内容の扱いはツールの設定次第です。OpenAIの公式ヘルプでは、ChatGPTの無料版・Plus・Proの 個人利用は初期設定で学習に使われるとされています。取引先名や未公表の人事情報は入力前に伏せるか、 設定画面(データコントロール)で学習利用をオフにします。
幹事が変わっても、同じ案内文の型を使い回せますか。 指示文(プロンプト)をテンプレートとして残しておけば、担当者が変わっても同じ形式で 案内文を作れます。イベント名や日時などの入力欄だけ変えればよい状態にしておくと引き継ぎが楽になります。
英語版の案内文も同時に作れますか。 指示文に「英語版も作成してください」と一文加えるだけで、日本語版と合わせて出力させられます。 ただし、専門用語や社内独自の呼び方は誤訳が起きやすいため、送信前に確認が必要です。
リマインドメールもAIに任せられますか。 任せられます。案内文の骨子と開催日を伝えれば、開催直前に送る短いリマインド文を 別パターンとして作成できます。締切日だけは元の案内文と食い違わないよう確認します。
小さい会社でも導入する意味はありますか。 社内イベントの回数が少ない会社では、削減できる時間の絶対量は小さくなります。ただし 案内文以外の定型文書(会議招集・議事録の下書きなど)にも同じ指示文の型を使い回せるため、 1つの型を作る手間に対して効果が出やすい業務です。
読んだ内容の確認に3問だけ。押すと答えが開きます。
Q1. 社内イベントの開催可否や中止の最終判断は、AIに任せてよい。
× — 開催可否の意思決定は判断業務であり、本文では人が担う範囲として整理している。
Q2. 対象者(幹部向け・一般社員向けなど)によって案内文の言い回しを変える作業は、AIに任せやすい。
○ — 文面のパターン変換は定型作業に近く、本文でAI化しやすい業務として挙げている。
Q3. 出欠の集約先や締切日を最終的に決めるのは、AIの役割である。
× — 集約先・締切の決定は運営側の判断事項であり、本文ではAIに任せない業務として書いている。
御社の仕事のうち、AIに渡せるものを診断します。
いくつかの質問に答えると、AIに任せられる仕事と減らせる時間の目安が出ます。運営: 市瀬 大義(福岡。前職で経営企画室長を経て、執行役員CFO)
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