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介護記録の入力をAIで軽くする|音声からの記録

結論

介護記録の入力は、1日30分と仮定すると職員1人あたり月10時間、申し送りや報告書を含めた施設全体で月130時間ほどの仕事になります (このサイトの試算。前提は後述の表の下に書いています。実測の統計ではありません)。 音声入力AIに任せられるのは「話した内容を文字にする」「決まった項目に振り分ける」の2つです。 判断が要る部分(利用者の状態評価、ヒヤリハットの重大度判定)は職員が行う必要があり、 そこは変わりません。この記事では、任せられる部分と任せられない部分を分けたうえで、 削減できる時間の目安と、今日から使える指示文例を示します。

介護記録の入力は、いまどれだけ時間がかかっているのか

介護記録には主に3種類があります。

  • 日々の記録(バイタル・食事・排泄・様子などの定型記録)
  • 申し送りノート(次のシフトへの引き継ぎ事項)
  • 家族向け・行政向けの報告書

このうち量が多いのは日々の記録です。手書きやタブレットへの手入力で、 利用者ごとに数行ずつ書く作業が、勤務時間の合間に何度も発生します。

試算:職員10名の施設の場合

一般的な業務量から試算すると、記録業務にかかる時間はおおよそ次のとおりです。

業務 いまの時間(月・施設全体) AI化後の時間 差
日々の記録(バイタル・食事・排泄等) 約100時間 約60時間 約40時間
申し送りノート作成 約20時間 約13時間 約7時間
家族・行政向け報告書 約10時間 約7時間 約3時間
合計 約130時間 約80時間 約50時間

試算の前提

  • 職員10名、1人あたり1日の記録入力時間を平均30分と仮定(月20日勤務。10名×30分×20日=月100時間)
  • 申し送りノートは月20時間、家族・行政向け報告書は月10時間と仮定(いずれもこのサイトの想定値)
  • 音声入力AIの導入により、日々の記録は40%、申し送りは約35%、報告書は約30%減ると仮定(聞き取り・記入の手作業が音声変換に置き換わる分)
  • 判断や確認の時間(利用者の状態を見極める、記録内容を読み直して確定する)は削減対象に含めない
  • 施設の人員体制・記録様式によって差は大きく変わるため、目安として読んでください
  • 時給を1,200円と仮定すると、月50時間の削減は約6万円分の時間に相当します(あくまで目安)

音声入力AIは、具体的に何をしてくれるのか

介護記録の場面で使われる音声入力AIは、次の2つの働きをします。

  1. 話した言葉を文字にする(音声認識)。スマートフォンやタブレットに向かって 「〇〇様、11時に昼食を8割摂取。むせ込みなし」のように話すと、そのまま文字になります。
  2. 決まった項目に振り分ける(記録テンプレートへの当てはめ)。 「摂取量」「様子」「特記事項」のように、あらかじめ決めた項目に文章を割り振る機能を 持つツールもあります。これは「話した内容を、決まった書式に合わせて並べ替える仕組み」と 考えると分かりやすいです。

手が離せない場面(移乗介助の直後、食事介助の合間)でも、声で記録できる点が 手入力との一番の違いです。ただし、AIが書いた文案をそのまま確定するのではなく、 **職員が読み直して確定する工程は残ります。**聞き取り違いや変換ミスが混じることがあるためです。

判断が要る部分は、AIに任せられない

次の業務はAIに任せられません。人が行う必要があります。

  • 利用者の状態が「普段どおりか」「異変か」を見極める判断
  • ヒヤリハット・事故の重大度を評価し、報告の要否を決める判断
  • 家族への説明で、状況に応じて言葉を選ぶ判断

AIが担うのは「話した内容を文字にして整える」ところまでです。 記録の中身そのものを判断するのは、これまでどおり職員の仕事です。

今日から使える指示文例

音声で記録した内容を、AIに整形させるときの指示文例です。介護記録ソフトの 自由記述欄にAIチャット機能が付いている場合や、汎用のAIチャットに音声入力の文字起こし結果を 貼り付ける場合に使えます。

以下は介護職員が話した内容を文字起こししたものです。
次の項目に沿って、簡潔な記録文に整えてください。

- 摂取量(食事・水分)
- 排泄の状況
- 様子・特記事項
- 対応した内容

文字起こし:
「〇〇様お昼ご飯だいたい8割くらい食べられて水分もコップ1杯飲めました
トイレは2回誘導で行けましたあと午後は少し傾眠傾向あって声かけしたら
目を覚まされましたそれ以外は変わりないです」

注意点:
- 文字起こしにない内容を付け加えないでください
- 判断(異変の有無など)は書かず、事実だけを記録文にしてください
- 敬語は使わず、記録として簡潔な文体にしてください

「〇〇様」の部分や項目名は、自施設の記録様式に合わせて置き換えてください。 「判断を付け加えない」という指示を入れることが重要です。AIに評価や解釈をさせると、 実際にはなかった内容が記録に混ざるおそれがあります。

導入前チェックリスト

音声入力AIを導入する前に、次の点を確認してください。

  • □ 利用者の氏名・病歴などの要配慮個人情報を扱う前提で、そのツールの利用規約とプライバシーポリシーを確認したか
  • □ 無料版・試用版を使う場合、入力内容が学習データに使われる設定になっていないか(設定画面で確認・オフにできるか)
  • □ 職員の話し方(方言・滑舌・マスク着用時の聞き取りにくさ)でテスト録音し、認識精度を確認したか
  • □ 施設内の通信環境(Wi-Fi・電波状況)で、記録が途切れずに使えるか確認したか
  • □ AIが作った文案を職員が読み直して確定する運用ルールを、あらかじめ決めているか

個人情報の扱いで注意すること

介護記録には、氏名などの個人情報に加えて、病歴や心身の機能の障害など「要配慮個人情報」 (個人情報保護法2条3項、同法施行令2条)にあたる情報が含まれます。 個人情報保護委員会は2023年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を出しています。 あらかじめ本人の同意を得ることなく個人データを含むプロンプトを入力し、その個人データが 回答生成以外の目的(AIの学習利用など)で扱われる場合、個人情報保護法に違反するおそれがある、 という内容です (出典: 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」2023年6月2日、 https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/)。 介護事業者向けには、個人情報保護委員会と厚生労働省が 「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」を出しています (https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/iryoukaigo_guidance/)。

利用規約とプライバシーポリシーを確認し、学習に使われない設定(オプトアウト)ができるか、 法人契約・業務用プランでその点が明記されているかを確認してください。

【各自確認:自施設が使う(または検討中の)ツールの利用規約に、入力内容を学習に使うかどうかが書かれているか。ツール提供元の公式サイトの利用規約・プライバシーポリシーで確認】

介護向けツールの公式ページで確認できた範囲(2026年9月22日時点)は次のとおりです。

  • ミルモレコーダー(株式会社ウェルモ): 公式ページに、データは国内のみに保存、通信はSSL暗号化と記載。学習への利用については記載が見つかりませんでした
  • ハナスト(CARE CONNECT JAPAN INC.): 公式ページには、データの取り扱いについての記載が見つかりませんでした

導入でつまずきやすい点

  • 現場の抵抗感。「声で話すのが恥ずかしい」「聞かれているようで気になる」という声が 出ることがあります。最初は記入者本人の判断で使う場面を選べるようにすると始めやすくなります。
  • 方言・専門用語の誤認識。「るい痩」「褥瘡」のような専門用語や、地域特有の言い回しが 正しく変換されないことがあります。頻出する誤変換を単語登録できるツールを選ぶと精度が上がります。
  • **確定作業を省略してしまう。**忙しさから、AIの文案をそのまま確定してしまう運用に なりやすい点は注意が必要です。読み直しの工程をルール化しておくことが必要です。

費用の目安

公式ページで料金を確認できた例(2026年9月22日時点)です。

ツール 公式ページの料金表示 出典
ミルモレコーダー(株式会社ウェルモ) 有料プラン月5,000円(月40時間まで、1名につき1アカウントの職員単位、最低3ヶ月契約、年払いは5%割引)。無料トライアルは7日間・3時間まで https://lp.recorder.milmo.jp/
ハナスト(CARE CONNECT JAPAN INC.) 料金の記載なし。CAREKARTEの利用者、または新規にCAREKARTEを購入する場合のみ利用可 https://hanasuto.carekarte.jp/

ミルモレコーダーは公式ページに「1名につき1アカウント」と明記されており、職員単位の契約です。

【各自確認:ハナストなど料金が公式ページに記載されていないツールの月額料金。ツール提供元に直接問い合わせて確認】

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)通常枠は、補助率が1/2以内、または2/3以内です。 2/3以内になるのは、2024年10月から2025年9月までの間に3か月以上、 2025年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上いることを示した場合です。 補助額は導入するツールの業務プロセス数で区分があり、1プロセス以上で5万円以上150万円未満、 4プロセス以上で150万円以上450万円以下です。 対象になるのは登録された業務プロセスを持つソフトで、汎用プロセスのみのものは対象外とされています (出典: https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/、2026年9月22日確認)。 【各自確認:導入を検討している介護記録ソフト・音声入力AIツールが、この補助金の対象ITツールとして登録されているか。申請前に補助金事務局公式サイトの登録ツール一覧で確認】 【各自確認:運営法人(株式会社・社会福祉法人・医療法人など)がこの補助金の対象事業者に当たるか。補助金事務局の公募要領で確認】

よくある質問

Q. 音声入力AIを使うと、記録の正確さは下がりませんか。 A. 音声認識の変換ミスや聞き取り違いは起こり得ます。そのため、AIが作った文案を 職員が読み直して確定する工程を残すことで、正確さを保てます。

Q. 利用者や家族から「AIに記録させているのか」と聞かれたら、どう説明すればよいですか。 A. 「声で話した内容を文字にする道具で、内容の確認と最終判断は職員が行っている」と 説明できます。判断そのものはAIが行っていないことを明確に伝えることが大切です。

Q. 小規模な施設(職員5名程度)でも導入する意味はありますか。 A. このサイトの試算の前提(1人1日30分、月20日勤務、削減率40%)を当てはめると、 職員5名なら記録入力は月50時間、削減は月20時間ほどです。職員10名の施設の半分の規模になります。 ただし導入・運用の手間は施設の大きさによらずかかるため、まずは一部の職員で 試してから広げる進め方が現実的です。

Q. 夜勤帯でも使えますか。 A. 夜勤帯の音声入力AIの利用実態について、公的機関や運営元による公表統計は 見当たりませんでした(公的統計はなく、このサイト独自の目安)。声を出すこと自体が難しい場面(利用者が就寝中など) があるため、テキスト入力と併用する運用が現実的です。場面によって使い分ける前提で導入してください。

Q. 記録した音声データはどこに保存されますか。 A. ツールによって異なります。たとえばミルモレコーダーの公式ページにはデータを国内のみに保存すると書かれていますが、 保存期間や削除の仕組みは記載が見つかりませんでした。業界横断で比較できる公的な統計も 見当たりませんでした(公的統計はなく、このサイト独自の目安)。保存期間や削除のタイミングはツールごとの利用規約に明記されているため、 要配慮個人情報を含むことを踏まえ、契約前に保存先とセキュリティ対策を確認してください。


介護記録で何時間減らせるかは、自施設の職員数と記録様式によって変わります。

理解度チェック

読んだ内容の確認に3問だけ。押すと答えが開きます。

Q1. 介護記録に音声入力AIを使う場合、要配慮個人情報を含むため、無料版の入力内容が学習に使われる設定になっていないか確認する必要がある。

○ — 介護記録は氏名や病歴を含む要配慮個人情報にあたるため、無料版の学習設定を必ず確認するべきだと本文で述べている。

Q2. 音声入力AIが作った記録の文案は、内容を確認せずそのまま公式記録として確定してよい。

× — AIの文案は誤変換や聞き取り違いを含むことがあるため、必ず本人が読み直して確定する工程が要ると本文で述べている。

Q3. 方言や滑舌のクセがある職員の声は、認識精度が落ちる場合があるため、導入前にテスト録音で確認しておくとよい。

○ — 現場でつまずきやすい点として、導入前のテスト録音を勧めていると本文で述べている。

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いくつかの質問に答えると、AIに任せられる仕事と減らせる時間の目安が出ます。運営: 市瀬 大義(福岡。前職で経営企画室長を経て、執行役員CFO)

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この記事の作り方: 下書きにAIを使い、制度・料金・ツールの仕様は公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。運営は市瀬 大義(福岡。前職で経営企画室長を経て、執行役員CFO)です。誤りはLINEから知らせてください。