ホーム›記事›自社でAIを作るといくらかかるか
経営

自社でAIを作るといくらかかるか

結論

自社でAIを作る費用は、「何を作るか」によって一桁変わります。 既存のAIツールを業務の手順に組み込むだけなら、月数万円からの積み上げが目安です。 業務専用のAIアプリを作るとなると、要件整理・開発・保守を含めて 数十万円から数百万円の幅が目安になります(公的な統計はなく、開発会社の 見積もり水準から見た目安です。詳細は後述)。独自のAIモデルを一から学習させる 開発は、多くの中小企業には費用と期間が見合いません。 まず「自社が作ろうとしているのはどのパターンか」を切り分けることが、 見積もりの前に必要な作業です。

「自社でAIを作る」には3つのパターンがある

「AIを作る」という言葉は、実際には性質が大きく異なる3つの取り組みを指します。

  • パターン1: 既存ツールの連携 — ChatGPTなどの既存AIサービスを、 社内の業務手順(問い合わせ対応、資料作成、データ整理など)に組み込む
  • パターン2: 業務特化アプリの開発 — 自社の業務データを扱う専用の画面を作り、 その中でAIに下書き・分類・要約などをさせる
  • パターン3: 独自モデルの学習 — 自社データだけを使ってAIモデル自体を 一から学習させる、または大きく調整する

この3つは、必要な技術・人員・期間・費用のすべてが異なります。 「AI開発の相場はいくらですか」という質問には、 このパターンを決めない限り答えが出せません。

パターン1: 既存ツールの連携にかかる費用

既存のAIサービスを社内の作業に組み込む場合、費用の中心は次の2つです。

  • ツールの月額利用料: 1人あたり、または1社あたりの定額が中心
  • 繋ぎ込みの作業費: 既存の業務ソフト(会計・受発注・顧客管理など)と AIツールを連携させる設定・簡易開発の費用

この繋ぎ込みが、既存の仕組みの範囲内(用意されている連携機能を使うだけ)で 済むか、個別のプログラムを組む必要があるかで、費用は大きく変わります。 用意された連携機能の範囲内であれば、社内の担当者だけで数日〜数週間の 作業で完了することもあります。個別のプログラムが要る場合は、 外部の開発者に依頼する費用が発生します。

(公的統計はなく、このサイト独自の目安)経済産業省・中小企業庁の公表資料を確認しましたが、 業務システム連携の開発費用そのものを示す統計はありません。金額は 依頼先・連携する業務ソフトの種類によって幅が大きいため、本文では 具体額を示さず、見積もり時に複数社を比較することを勧めます。

パターン2: 業務特化アプリの開発にかかる費用

自社の業務専用のAI活用アプリを作る場合、費用の内訳は次のようになります。

  • 要件整理: どの業務を、どこまでAIに任せるかを決める工程
  • 開発費: 画面・機能を実際に作る工程。外注か内製かで費用構造が変わる
  • AIサービスの利用料: 開発したアプリが呼び出すAIの従量課金分
  • 保守・改修費: 公開後の不具合対応、AIサービス側の仕様変更への追随

このうち「開発費」は、外注の場合は依頼先の見積もりに沿った一括または 分割の支払いになり、内製の場合は担当者の稼働時間として社内に残ります。 どちらの場合も、要件整理と保守は、開発が終わったあとも継続してかかる 費用だという点が見落とされがちです。

(公的統計はなく、このサイト独自の目安)業務特化アプリ開発の費用相場についても、経済産業省・ 中小企業庁の公表資料に統計はありません。開発会社の見積もりは業務範囲・ 機能数によって数十万円から数百万円まで幅があるため、本文では具体額を 確定せず、要件整理の段階で複数社から見積もりを取ることを勧めます。

パターン3: 独自モデルの学習にかかる費用

自社データだけを使ってAIモデル自体を一から学習させる、または 大きく作り替える開発は、パターン1・2とは費用の規模が異なります。

  • 学習データの整備: 大量のデータを集め、AIが学習できる形に整える工程
  • 計算資源の費用: モデルを学習させるための計算処理にかかる費用
  • 専門人材の確保: モデルの設計・検証ができる技術者が必要

この工程は、データの整備だけでも相応の時間がかかり、 学習・検証を繰り返す期間も必要です。多くの中小企業にとっては、 既存のAIサービスを活用するパターン1・2で十分な効果が得られることが多く、 パターン3が必要になるのは、自社独自のデータや専門領域が 既存サービスでは対応できない場合に限られます。

(公的統計はなく、このサイト独自の目安)独自モデル学習の費用規模も、公的機関による統計は 見つかりませんでした。計算資源・専門人材の確保状況によって金額の 桁が変わるため、本文では具体額を示さず、専門の開発会社への相談を 起点にすることを勧めます。

費用体系ごとに社内の稼働時間はどう変わるか

発注する・しないにかかわらず、社内側の稼働時間は必ず発生します。 どのパターンでも、要件を決める人、確認する人が社内に必要だからです。 一般的な業務量から試算すると、次のような目安になります。

項目 パターン1: 既存ツール連携 パターン2: 業務特化アプリ開発 パターン3: 独自モデル学習
社内の稼働時間(要件整理・確認) 10〜20時間 30〜60時間 60時間以上
開発期間の目安 数日〜数週間 1〜3ヶ月 3ヶ月以上
費用の中心 ツール月額料金+簡易な繋ぎ込み費(公的統計はなく、このサイト独自の目安) 開発費(外注または内製人件費)+AI利用料(公的統計はなく、このサイト独自の目安) 学習データ整備費+計算資源費+専門人材費(公的統計はなく、このサイト独自の目安)
社内に必要な役割 業務手順を知る担当者1名 業務担当者+開発の窓口役 業務担当者+技術的に検証できる人材

試算の前提

  • 「社内の稼働時間」は、要件を決める打ち合わせ、動作確認、修正依頼にかかる 時間の目安。実際の時間は業務の複雑さ・社内の意思決定の速さで変動する
  • 開発期間・稼働時間は一般的な取り組み方から見た目安であり、 特定の企業の実績を示すものではない
  • 費用の具体額は依頼先・利用するAIサービスにより変動するため、 本文では確定しない
  • 経済産業省・中小企業庁の公表資料を確認しましたが、AI開発費用の 相場そのものを示す統計は見つかりませんでした。「費用の中心」欄は 各パターンで何にお金がかかるかの内訳であり、金額を示すものでは ありません

この表からわかるのは、「安いパターン」ほど社内の稼働時間が少なく、 「規模の大きいパターン」ほど社内側にも相応の時間が必要になるという 関係です。発注費用だけを見て「安く済んだ」と判断すると、 社内の稼働時間を含めた実際のコストを見誤ります。

見積もりだけでは見えない費用

AI開発の見積もりを比較するとき、次の3つが抜け落ちやすい費用です。

  • 保守・改修費: 公開して終わりではなく、AIサービス側の仕様変更や 不具合への対応が継続的に発生します。見積もりに含まれているか、 別契約になるかを事前に確認する必要があります
  • AIサービスの従量課金分: 開発費とは別に、AIを呼び出すたびに 発生する利用料が積み上がります。利用量が想定より多いと、 月々の費用が見積もり時の想定を超えることがあります。 (公的統計はなく、このサイト独自の目安)料金体系は提供元・プランによって異なり、 全社共通の相場を示す公的統計はありません。契約前に、利用予定の AIサービスの最新の料金ページで必ず確認してください
  • 社内の確認・修正にかかる時間: 発注した成果物を実際の業務で 使えるようにするための微調整は、多くの場合、社内側の作業として残ります

見積もりを比較する際は、「開発費がいくらか」だけでなく、 「保守費は別か」「従量課金の見込みはどのくらいか」を 同じ条件で複数の依頼先に確認することを勧めます。

補助金は使えるか

AI開発にも、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の 通常枠が使える場合があります。補助率は原則1/2以内、令和6年10月〜 令和7年9月の間に3ヶ月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で 雇用している従業員が全従業員の30%以上であることを示した場合は 2/3以内です。補助額は、選ぶ業務プロセス数が1以上なら5万円以上 150万円未満、4以上なら150万円以上450万円以下です (出典: デジタル化・AI導入補助金2026公式サイト https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/ 、 2026年9月時点。公募回ごとに条件・対象経費が変わるため、 申請前に最新の公募要領で確認してください)。

対象経費区分は、ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)が 必須で、機能拡張・データ連携ツール・セキュリティ対策・導入コンサル ティング・導入設定・導入研修・保守サポートが対象に加えられます (出典は同上)。独自モデルの学習にかかる学習データ整備費や専門人材の 人件費は、この区分には含まれにくいため、パターン3の開発を検討する 場合は申請前に最新の公募要領で対象経費を個別に確認してください。

計算例: 補助金を使うと自己負担はいくらになるか

前提を1つ仮に置いて計算します。実際の金額は選ぶ業務プロセス数や公募回の条件で変わります。

項目 仮の数値
選ぶパターン パターン2(業務特化アプリの開発)
選ぶ業務プロセス数 1
対象経費(ソフトウェア購入費+クラウド利用料) 100万円
補助率 1/2(原則)

計算の流れです。

  • 補助額の目安 = 対象経費100万円 × 補助率1/2 = 50万円
  • 本文にある「業務プロセス数1以上なら5万円以上150万円未満」の範囲に収まるため、 この50万円はそのまま申請の目安として使えます
  • 自己負担額の目安 = 対象経費100万円 − 補助額50万円 = 50万円

試算の前提

  • 業務プロセス数・対象経費・補助率は、計算の手順を示すための仮の数値です。 実際の金額は選ぶ業務プロセス数、対象経費の内訳、公募回の条件によって変わります
  • 出典: デジタル化・AI導入補助金2026公式サイト (https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/normal/)、2026年9月時点。 申請前に最新の公募要領で確認してください

見積もりを比較するときのチェックリスト

見積もりを受け取ったら、契約する前に次を確認します。1つずつ、依頼先に確認したかどうかを○×で埋めていきます。

□ どのパターン(既存ツールの連携・業務特化アプリの開発・独自モデルの学習)を対象にした見積もりか、依頼先と自社の認識が一致しているか □ 保守・改修費が見積もりに含まれているか、公開後に別契約になるかが明記されているか □ AIサービスの従量課金分が見積もりに含まれているか、開発費とは別に発生するかが明記されているか □ 社内の稼働時間(要件整理・動作確認・修正依頼)を誰がどれだけ担うか、見積もりの前提に反映されているか □ 開発期間の目安が、本文の表(パターン1: 数日〜数週間、パターン2: 1〜3ヶ月、パターン3: 3ヶ月以上)と大きくずれていないか、ずれている場合は理由を確認したか □ デジタル化・AI導入補助金2026の対象経費区分(ソフトウェア購入費・クラウド利用料など)に入る項目と、入らない項目(学習データ整備費・専門人材の人件費など)を依頼先に切り分けてもらったか

この6つは、本文で挙げた「見積もりだけでは見えない費用」と「補助金の対象経費」をそのままチェック項目に置き換えたものです。埋まらない項目があれば、契約前に依頼先へ質問します。

よくある質問

自社でAIを作るとき、まず何を決めればいいですか。

パターン1(既存ツールの連携)、パターン2(業務特化アプリの開発)、 パターン3(独自モデルの学習)のどれを指しているかを先に決めることです。 このパターンが決まらないと、見積もりの依頼先も金額の桁も定まりません。

中小企業がパターン3(独自モデルの学習)を選ぶべき場面はありますか。

既存のAIサービスでは対応できない自社独自のデータや専門領域があり、 かつその開発費用・期間を負担できる場合に限られます。 多くの中小企業にとっては、パターン1・2で必要な効果が得られることが多く、 パターン3から検討を始める必要はありません。

外注と内製、費用が安いのはどちらですか。

業務の複雑さと社内の技術者の有無によって変わるため、一律には言えません。 内製の場合、発注費は抑えられますが、担当者の稼働時間という形で 費用が社内に残ります。外注の場合、発注費は明確になりますが、 要件整理や確認にかかる社内の時間は別途必要です。

開発が終われば費用はかからなくなりますか。

かかり続けます。AIサービスの従量課金分と保守・改修費は、 公開後も継続的に発生する費用です。見積もりの段階で、 開発費と運用後の費用を分けて確認してください。

補助金を使えば自己負担なしでAIを作れますか。

自己負担なしにはなりません。補助率は上限があり、 対象経費の区分外の費用(自社の稼働時間など)は補助の対象外です。 補助金はあくまで費用の一部を補うものとして計画してください。

理解度チェック

読んだ内容の確認に3問だけ。押すと答えが開きます。

Q1. 既存のAIツール(ChatGPTなど)を社内の作業手順に組み込む使い方は、独自のAIモデルを一から学習させる開発より一般的に費用が小さい。

○ — モデルを一から作る開発は学習データの整備や計算資源が必要で、既存ツールの連携より費用が大きくなりやすいと本文で説明している。

Q2. AI開発の費用は、外部への発注費だけを見れば全体の費用を把握できる。

× — 社内の要件整理・確認・保守にかかる稼働時間も費用の一部であり、発注費だけでは全体を把握できないと本文で説明している。

Q3. 中小企業が独自のAIモデルを一から学習させる開発は、既存のAIサービスを使う開発より一般的に必要な期間が短い。

× — 独自モデルの学習はデータ整備や検証に時間がかかり、既存サービスの活用より長い期間が必要になりやすいと本文で説明している。

無料・3分

御社の仕事のうち、AIに渡せるものを診断します。

いくつかの質問に答えると、AIに任せられる仕事と減らせる時間の目安が出ます。運営: 市瀬 大義(福岡。前職で経営企画室長を経て、執行役員CFO)

無料のAI導入診断を受ける LINEで「相談」と送る
この記事の作り方: 下書きにAIを使い、制度・料金・ツールの仕様は公式ページに照らして事実確認したうえで公開しています。確認の取れない記述が残る記事は公開せず、一次資料が見つからない箇所は本文にそう書いています。運営は市瀬 大義(福岡。前職で経営企画室長を経て、執行役員CFO)です。誤りはLINEから知らせてください。